ガーデン

楽庵の畑のシンボルとして「りんごの木」という石版がある。初めてこちらの石板の裏を読んだ時に鳥肌が立った。
「おおきな木」のお話だ!今は亡き恩師との思い出に残る特別な絵本。簡単な言葉なのに心が揺さぶられる。様々な考えや思いを呼び起こす。
村上春樹は「美しい感情があり、喜びがあり、希望の発芽があるのと同時に、救いのない悲しみがあり、苦い毒があり、静かなあきらめがあります。それらはいわば、人間の心という硬貨の裏表になったものなのです。」と言っている。
その恩師と私の関係はおおきな木と少年のこれだった。
私は受け取る一方で、何も与えてあげられなかったという悔い。人間関係の中でバランスよくエネルギーを交換できることは少ない。
与えることは受け取ること、受け取ることは与えることでもある。その事実に救われる。
植物や子供の世話をしていながら、こちらの受け取ることの何と多いことか。